議論をしていて、
(どうも話が噛み合わないな~、おかしいな~)
という時は――
お互いの話の依って立つ前提条件が違っている――
ということが、ほとんどです。
前提条件が違うので――
仮に論理の展開の方向がピタリと一致していても、
(あれ?)
となってしまいます。
さながら――
同じ街の違う通りを歩いているから、同じ方角に進んでいるのに、見えてくる街並みが全く違う――
というように――
ここでいう「前提条件をすり合わせる」とは――
同じ街の同じ通りの同じ場所で、同じ日にちの同じ時刻に、きっちり待ち合わせをする――
ということを意味しています。
問題は――
たぶん現実の日常生活のほうで、先に起こりました。
インターネットやスマートフォン等の普及に伴い――
昨今は、きっちり待ち合わせをするということがなくなりました。
会う直前になってメールや通話をするなどして、何となく落ち合ってしまう――
ということが、ずいぶんと増えました。
そのぶん――
皆が、きっちり待ち合わせをする、ということに不慣れになってしまっている――
議論の場でも――
似たようなことが起こっています。
インターネットやスマートフォン等の普及に伴い――
昨今は、いわゆる調べものが、かなり容易になりました。
そのために――
何となくであれば、お互いの話の依って立つ前提条件をすり合わせることも可能になりました。
が――
あくまで“何となく”なので――
実際には、同じ街の違う通りにいるとか、違う日にちの同じ時刻にいるとかいうようなことが多々あります。
それゆえに――
議論が、噛み合うようで噛み合わない――
ということが珍しくなくなりました。
インターネットやスマートフォン等は、たしかに便利なのですが――
その“便利”は、ひょっとすると、ただの錯覚かもしれません。