マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

助詞一つであっても

 喫茶店などで、

 ――ご注文は?

 と訊かれて、

 ――コーヒーを下さい。

 と丁寧に答えるのが億劫なときに――
 皆さんなら、何とお答えになりますか。

 ――コーヒー

 と一言でお答えになりますか。

 たしかに、そう答える人は少なくありませんね。
 僕も時には、そう答えてしまいます。

 が――
 一言「コーヒー」と答えるだけでは、どうしても、ぶっきらぼうにきこえてしまいますよね。

 この難点を解決する方法が一つあります。

 喫茶店で聞き耳を立てていたら、気づきました。

 それは、末尾に助詞をつけるのです。

 ――コーヒーを――

 と――
 そうすると、「コーヒーを下さい」の「下さい」が省略されたと感じられるのですね。

 ちなみに、僕が喫茶店で聞き耳を立てていた日――
 多くの人が「コーヒー」と一言で片付ける中で、一人の白髪の老婦人が「コーヒーを」と助詞を添えていました。

 とくに着飾っていたわけではないのに――
 装いのすべてが上品にみえました。

 助詞一つであっても侮るべきではありませんね。