マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「欲しい」と思う前に与えられたのでは

 どんな物でもそうでしょうが――
 物というものは、それを「欲しい」と思う前に与えられたのでは――
 ありがたみを実感できないものです。

 例えば、

 ――ああ、ミカンが食べたいな。

 と思う前にミカンを手にしたのでは、ありがたくも何ともない――

 ミカンのような具体的な事物だけではありませんよ。

 ――正社員になりたいな。

 と思う前に正社員になったのでは、ありがたくも何ともないわけです。
 あるいは、

 ――恋人が欲しいな。

 と思う前に恋人ができたのでは、ありがたくも何ともない――

 ――子供が欲しいな。

 と思う前に子供ができたのでは、ありがたくも何ともない――

 こうした傾向は、事物が抽象的で重大であるほどに、強まるようです。

 ――世界が平和になって欲しいな。

 と思う前に世界が平和になったのでは、全くもって、ありがたがられない――
 歴史が証明するところです。