マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

その視線はビックリするほどに冷たかった

 電車に乗っていたら――
 若い男女2人組が乗ってきて、隣に座りまして――
 2人とも、すぐに読書を始めました。

 お互いに遠慮をしている素振りが全くなかったので――
 2人は、たぶん恋人か夫婦なのでしょう。

 読書を始めて20分くらいすると――
 女性のほうが居眠りを始めました。

 最初は、可愛らしい寝顔でいたのですが――
 そのうちに、だんだんと寝顔が崩れてきて――
 最後は、しかめ面のまま、口をポカンと開けて寝ていたのですね。

(う~ん、痛々しいな~)
 と思って男性の顔色を伺うと――
 こちらは居眠りをすることもなく、真剣な表情で読書を続けている――

 この男性が、女性の崩れた寝顔に早く気付き、起こしてあげるのだろうと思って、しばらく待っていましたが――
 一向に、その気配がありません。

 どうして気付かないのかと思って、男性の顔を10秒くらいみていたのですが――
 なんと――
 男性は気付いているようではありませんか。

 ちらっと女性の寝顔をみやっては、すぐに視線を戻していたのです。

 その視線はビックリするほどに冷たかったのですね。

(この2人、そろそろ終わるんだろうな~)
 と感じました。

 大丈夫です。

 2人とも、まだ20代前半くらいでしたから――
 やり直しは、いくらでもできるでしょう