目の前の人が本当のことをいっているのか――
それとも、本当ではないことをいっているのか――
あるいは、デタラメのことをいっているのか――
そこを見抜く能力は、社会人には必須でしょう。
ここで注意すべきは――
その能力は、思いのほか繊細なものです。
それは、その人の発言内容が事実に即しているかどうかを判断する能力ではありません。
そうではなくて――
その人がいっていることは、たしかに、その人が「本当である」と信じていることかどうかを判断する能力です。
つまり――
仮に、その人の発言内容に事実に反することが含まれていたとしても――
そのことをもって直ちに、その人がデタラメをいっていたとは断定できない、ということです。
もちろん――
事実に反することを口にしてしまう甘さ(調査能力の不足や情報取集の不備など)は糾弾されてしかるべきでしょう。
が――
そうした甘さが人間性の全てを台なしにするわけではありません。
目の前の人のいっていることを信用するかどうかの判断は、事実確認を徹底するだけでは不十分です。
その人の言動を事細かに観察し、その人の心理を多岐にわたって想像する必要があります。
その人のいっていることは、たしかに、その人が「本当である」と信じていることかどうか――
それを見抜くのに欠かせない能力は、観察力であり想像力です。