信念を貫く意義は――
自分の信念の内容を実行したり、実行し続けようとしたりすること自体にはないと、考えています。
信念が信念であるうちは、決して捨ててはならない――
信念を捨てたら、倫理を失う、人格が歪む、人の道を踏み外す――それだけは絶対に避けなければならない――
そこが本質だと思うのです。
自分の信念が、他の誰かにとっては間違いではないかといった懸念は、この際、実は、それほど重要ではありません。
他の誰かとの見解の相違や感覚の相違は、人の世に生きていれば、不可避だからです。
信念が信念であるうちは――
と述べました。
信念が信念でなくなったなら、それは虚妄です。
虚妄に拘泥してはいけません。
極端な話をすれば――
自分の信念が、他の全ての人たちにとっての間違いであれば、それは捨てなければなりません――明らかに虚妄だからです。
信念を貫こうとするときに、自分の信念が虚妄に陥っていれば、そのことには絶対に気づく必要があります。
他の全ての人たちにとっての間違いであれば――
と述べました。
仮に「他の全ての」ではなかったとしても――
つまり、他の多くの人たちにとっての間違いであったとしても――
虚妄に陥っている可能性は高いでしょう。
そのときは、信念を捨てる覚悟が迫られます。
信念を貫く上で、絶対に担保しなければならないことは――
自分の信念が虚妄に陥っていないかどうかを常に監視しようとする意志――理性の働きなのです。