人類の営みの場である地球上は、一見、安定した自然環境のように思えますが――
惑星科学の知見に依るならば――
実は、思いのほかに危うい調和関係の上に成り立っています。
何か一つでも条件が違っていたら――
例えば、月がなかったら――例えば、月という衛星が地球という惑星の周りを回っていなければ――
地軸の傾きの角度が安定せず、よって、地球上に安定した自然環境は生まれえず、よって、生命は生育しえず、よって、人類も生まれえなかった――
というのです。
その月は、現在、年数センチの速さで地球から離れていっているそうです。
このまま月が地球から離れていけば、離れた分だけ地軸の傾きが不安定となり、地球上の気象変動などが激しさを増すといいます。
が――
そこまで離れるには何億年もかかるので――
その前に太陽の寿命が迫り、地球を含む太陽系は滅亡するそうです。
ですから、
――月が離れて天変地異が起こる。どうしよう!
などと不安に思う意味はありません。
とはいうものの――
月が離れていこうが太陽の寿命が迫ろうが、いずれ地球は今の自然環境を失うのです。
それが遠い未来のことであればいいのですが――
何かの拍子で、あすのことになるかもしれない――
実際のところ――
遠い昔、小惑星が地球上に落下し、自然環境が一過性に激変したことで、当時、地球上に生育していた生物種の過半が絶滅したらしいということを――
惑星科学の知見は教えてくれています。
人類をはじめとする地球上の生物種は、人類の営みではどうしようもないところで、からくも生存を許されている――
そういう世界観ないし自然観に依ることは、自分の人生を見つめなおす上で、大変に重い役割を果たします。