いかにも突飛な服装で、派手な化粧をきらめかせ、一見だらしなくもみえる髪型で――
そんな若い女性が、居住まいをただし、大人の口調で、物静かに喋りだしたりすると、
(え? どういうこと?)
と戸惑ってしまいます。
もちろん、
――人を外見で判断してはいけない。
とは、よくいわれることですから――
そうした女性の人柄や教養を外見から判断してはいけないのは明らかですが――
それでも、
(なぜ?)
と思うのです。
(そんなに普通の対応をするのなら、格好も普通にしたらいいのに……)
と――
――オシャレは自分のためにするのではない。周囲の人たちのためにする。
という考え方があります。
それによれば、自分がやりたいように装うことは、オシャレではない――
それは、オシャレではなく、自己顕示の行為です。
そういう行為をすることで――
何かを変えたいのでしょうか。
体面を取り繕う自分――
他者に迎合する自分――
自我を抑制する自分――
つまり――
世間でイザコザを起こすまいとする自分――無意識のうちに臆病となる自分――
そういうことなら、よくわかります。
背景に潜むのは10~20代に特有の自己顕示の欲求でしょう。
そういう欲求なら、僕にもありました。