学生の頃には、何となくしかわからなかったことで――
卒業して10年以上が経った頃になって、ハッキリとわかることがあります。
そのうちの一つが、
――学問の基本は、結局は、一つひとつの術語の意味を理解していくことだ。
ということです。
これは、つまりは、
――教科書の機能は、単なる辞書でよい。
ということです。
もちろん――
実際の学問の現場では、術語の意味だけを議論しているわけではなく――
様々なことが議論されているわけですが――
それら議論を吸収するためには、術語の意味がわかっていなければ、話にならないのですね。
ですから――
例えば、大学の教養学の科目では――
最初の講義の日に、まずは、意味を理解しなければならない術語の一覧表を配ることから始めるのが良いのではないか――
ということになります。
それでは、たぶん教えるほうが心配になってしまってしょうがないのですが――
その心配は、実は杞憂なのです。
教師にとっても、術語の意味を正確に理解し、説明するのは、至難のわざです。
さらにいえば――
教師にとって、学生が自分と同程度に深く理解できるように仕向けることは、とんでもない離れわざなのですから――