マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人が芸術を求めるとき

 ふと心に空白が生まれたときに――
 人は、芸術に補填を求めるものなのでしょう。

 ――心の空白

 とは、集中的な関心が全ての事柄について途切れている――あるいは、弱り切っている――そういう状態です。

 心が何かに集中して関心を示しているようなときには――
 その心に芸術が関わる余地は全くないように思います。

 その「心の空白」の生まれ方は――
 おそらくは人によって異なるでしょう。

 毎日の暮らしの中で、決まった時刻に15分間だけ生まれるものかもしれませんし――
 人生の一定の時期に数か月とか数年の長きにわたって生まれるものかもしれません。

 どのような「空白」の生まれ方であったとしても――
 その「空白」に芸術がスルりと入り込んでいくという機序は、たぶん同じです。

 自分の周囲に広がる事物の一切について、能動的で持続的な関心が消え入るときに――あるいは、薄れ行くときに――
 人は芸術を求めるのだと思います。