毎日、同じように仕事をこなしていて――
あるとき、そのいつもと同じ仕事ぶりに対して、不意に、
――ありがとう。
といわれると――
何だか救われた気持ちになりますよね。
(べつに、ふだん通りに仕事をしただけなんだけどな……)
と思いつつも――
(きょうは、いつもよりも丁寧に仕事をしているようにみえたのかな)
などと思ったり――
実際には、そういうことは、あまりなくて――
ただ、「ありがとう」をいった人の気まぐれが、その日に起こっただけなのか――
あるいは、「ありがとう」をいった人が、本当は何日も前から「ありがとう」をいいたかったのに、なかなかいえなくて、その日やっとのことでいえたのか――
だいたいは、そんなところだろうと思うのですが――
それでもいいんです。
誰かに思いがけず「ありがとう」といわれて、とても嫌な気持ちになるような人は――
まず、いませんので――
気まぐれでも、やっとのことでもいいから――
思い立った時に、そっと「ありがとう」といえばいいのです。
ぎこちなくてもいいから――
不自然きわまりなくてもいいから――