実は争っているのに、争っている自覚がない――
ということは――
もし、そんな事態がありうるのだとしたら――
何とも悲しいことですね。
悲しいだけではありませんよ。
苦しくて、つらいことです。
――まさか! 争ってれば、ふつうは気づくでしょう?
とお思いの方もいらっしゃるでしょうが――
わかりませんよ。
何しろ――
生物種としてのヒトは、本能的に争いが大好きらしいのですからね。
ヒトには争いを好む本能が備わっていて――
それが、ヒトを今日のように進化させたと、みなす考えは――
つまり、複雑な社会を形成させ、高度な文明を構築させたと、みなす考えは――
容易には否定できないと、僕は思っております。
実際――
ヒトは、社会を形成し、文明を構築してきた結果――
他の多くの生物種を絶滅に追いやってきたし、今も追いやっているのですから――
ヒトが、進化論的生存競争に打ち勝ってこれたのは――
類いまれなる闘争愛好本能のおかげかもしれません。