確率という数値は――
人間の思考内容が「数」となって現れたもので――
なまじ数値で表されているがゆえに、非常に捉えにくいところがあります。
――降水確率
が、おなじみですね。
――あすの降水確率は30%でしょう。
といわれて――
さてどうするのか――
30%ということは、3回に1回は雨が降るわけだから、いちおう傘は持っていくか――
と考えるのか――
30%ということは、100%よりも0%に近いわけだから、まず傘はいらないな――
と考えるのか――
どちらの思考内容も「30%」つまり「確率0.3」という数値から派生しています。
が、結論は正反対です。
そもそも、この「確率0.3」は、
――これまでに現在と同じような気象状況になった事例の3割で雨が降っている。よって、これから雨が降る確率は30%と考えられる。
という思考内容が「数」になって現れたものです。
が――
思考内容を「数」で代替することには無理がありますよね。
確率は、その背後の思考内容(確率を算出する過程や算出に必要な仮定)こそが本質なのですが――
その本質は、数値で表されたら最後、すっかり遮蔽されてしまうのです。
確率は数値ではあるのですが――
数値であることをいったんは忘れないと、その本質を決して捉えることはできません。