マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

僕は「なし」だと思う

 本の題名は――
 その本に書かれている事柄と必ずしも関わっている必要はない――
 とする考え方があるそうです。

 例えば――
 人体の構造についての入門書に、

 ――自動販売機の夕暮れ

 という題名が付けられていたとします。

 そして――
 題名を付けたほうは、付けた理由として、

 ――人体の構造は、自動販売機とも夕暮れとも全く関係がないから――

 と説明をしている――

 実は、その著者は、30年前は医学部の学生でいて――
 その時の解剖学実習の思い出を、夕暮れ時の学生会館の自動販売機の音と一緒に反芻しているからとか――
 そういった一見もっともらしい説明などは一切なくて、ただ、

 ――全く関係がないから――

 という理由だけで、『自動販売機の夕暮れ』になる、と――

 そういう題名の付け方も「あり」である、と――

 ……

 ……

 僕は「なし」だと思うのですよね。

 やはり、本の題名は――
 そこに書かれていることの端的な要約であったほしいと思うのです。
 例えば、

 ――人の体を解してわかること

 とか――