二者択一の議論というのは――
不毛だと思うのですよね。
例えば、
――AかBか?
のような議論です。
そもそも――
「AかBか?」が本当に二者択一であるのなら――
「B」というのは「非A」であるし、「A」というのは「非B」であるはずなのですが――
そんなことは、通常、ありえません。
そのことは――
議論をもう少し具体的に設定してみれば、すぐにわかります。
例えば、
――あなたは犬が好き? 猫が好き?
のような議論ですね。
そんな質問を投げかけられても、
――いや~、どっちも好きじゃないんだけどな~。
とか、
――いや~、私は、断然、イグアナが好きだよ!
とかと思っている人には――
答えようがない――
あるいは、
――あなたは科学的? 非科学的?
という議論――
たしかに、科学的でなければ非科学的であり、非科学的でなければ科学的ではあるわけで――
そういう意味では、この議論は紛れもなく二者択一ではあるのですが――
では――
ときに科学的に考えて、ときに非科学的に考える――
そういう方針を前提にしている人にとっては、この議論はどうなのか――
何か意義を見出せる議論なのか――
といえば――
答えは「ノー」でしょう。
耐えようがないほどに窮屈に感じられるはずです。
議論を二者択一に縛るのなら――
その時点で議論を放棄したも同然なのです。