大人は、子供に、
――議論をすりかえてはいけません。
などという小言を――
安易に用いるべきではありませんね。
人の知的営みは、すべからく議論をすりかえることで発展してきたのですから――
例えば、
――主観と客観との違いは何か。
を、
――そもそも客観は定義されうるのか。
とすりかえることで――
人の主観や客観についての論考が進展したように――
議論のすりかえは――
本来、歓迎されるべきことなのです。
――議論は、すりかえられてこそ――
のようなところがあります。
ですから――
子供が議論をすりかえたときに、大人が用いてもよい小言は、
――その議論のすりかえは、無益です――卑怯です。
といったものでしょう。