きのうの『道草日記』で――
「不戦の願い」を「戦いの物語」に込めようとする者は、この深刻な矛盾に一度は向き合う必要がある――
と述べました。
「深刻な矛盾」とは――
戦いは良くないことだということを物語で訴えるには、その物語の中で、多少なりとも戦いのことに触れなければならない――
ということです。
ここで気をつけるべきことは――
物語で戦いに触れる場合に、ちょっとでも気を許してしまうと――
戦いに臨む人たちの興奮や高揚を礼賛してしまったり、戦いの勝者に利益がもたらされることを疑いなく肯定してしまったりする点です。
これは、「不戦の願い」を「戦いの物語」に込めようとする人たちの幾人かが時々やってしまう過誤であり――
おそらくは――
ご当人たちは気づいていない――もしくは、気にしていない――と思われます。
なぜ、そのような過誤が見すごされるのかといえば――
それは、今日まで「深刻な矛盾」に真剣に向き合ってこなかったからでしょう。
――そんなことを考えてたって、しょうがない。
を口実にして……。
……
……
実際には、「しょうがない」ということはないはずです。
あえて「そんなこと」を考えぬくことによって――
従来の物語にはない新境地を開拓することは、大いにありうるでしょう。
少なくとも、通り一遍の退屈な物語にしない予防線には十分になりえます。