高校卒業後の教育の在り方を、
――学術的
と、
――職業的
とに分割する発想は――
比較的なじみやすいと思います。
実際――
多くの人たちが、漠然と、
大学教育・大学院教育 = 学術的
専門学校教育・企業教育 = 職業的
であると感じていると思います。
僕も、
(まあ、そうだろうな)
と思っていました。
が――
きょう、
――大学や大学院でも、一部の名門を除き、すべて職業的な教育に専念すべきである。
という考え方があることを知って、
(なんか、違うんじゃないか)
と思うようになりました。
(教育を「学術的」と「職業的」とに、そんなに簡単に分割できるものなのか)
という疑念が出発点です。
(ちょっと無理だろう)
と思うのですね。
例えば――
本当に学術的な教育では、プロの学者・研究者であろうとする職業的発想が必要ですし――
本当に職業的な教育では、自然の原理や社会の普遍に敏感な学術的態度も必要でしょう。
職業意識に乏しい学者・研究者では、大した業績は残せないでしょうし――
自然の原理や社会の普遍に疎い職業人は、いつまでも大成しないでしょう。
伝統のある名門大学であろうとなかろうと――
名もなき新設大学であろうとなかろうと――
どちらも実践していかなければならないはずです――学術的教育と職業的教育との双方を――
そもそも教育を分割できると考えるのが間違いではないでしょうか。
良質な教育は、全体として良質であればあるほどに、決して部分には分割できないものだと思います。