マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

上質な評論をしている人たちが実在していることは確か

 ――評論家
 
 という職業は――
 なぜか人気がないようです。
 
 名のある研究者、技術者、芸術家、実業家、政治家といった方々が、異口同音に、
 
 ――「あいつは評論家のようだ」といわれるのが最も恐ろしい。
 
 と、こぼしていらっしゃいます。
 
 もちろん――
 研究者、技術者、芸術家、実業家、政治家の仕事は評論ではないので、
 
 ――手を出すべきでない仕事に手を出している。
 
 という意味で謗(そし)られるのを恐れるお気持ちは、よくわかるのですが――
 
 それでも、
(何も、そこまで「評論家」を嫌わなくてもいいのに……)
 と感じることがあります。
 
 たしかに――
 いわゆる“評論家”と呼ばれる人たちの全員が上質な評論をしているわけではありません。
 
 が――
 上質な評論をしている人たちが実在していることは確かです。
 
 上質な評論とは――
 定見が生み出す評論です。
 
 評論を生み出す定見とは、突き詰めて考えれば、それは哲学であったり思想であったりします。
 
 つまり――
 真の評論家は、自分の評論を通して自分の哲学や思想を世に伝えているのです。
 
 評論それ自体は手段に過ぎません。