自分が知らない物や事は――
自分にとっての存在しない物や発生しない事であったりするので――
人は――
できる限り、
――自分の知らない物や事
を減らすように努めなければなりません。
それが、
――学ぶ
という営みですが――
もとより――
人は全知全能ではありませんので――
どんなに知識を蓄えても、どんなに理解を深めても――
「自分の知らない物や事」は、どうしても残されます――それも、たいていは膨大な量として――
人が一生のうちに蓄えられる知識は、微々たるものです。
また――
人が一生のうちに深められる理解は、浅薄たるものです。
残される膨大な量の「自分の知らない物や事」に対し、自分の想像力や推理力を駆使して、どこまで迫れるか――
それが、
――知恵
です。
知恵は、知識や理解とは異質です。
知識をいくら蓄えても、理解をいくら深めても――
心に知恵は宿らない――
自分の知らない物を想像し、自分の知らない事を推理しようとする――
その意志をもたなければ、人は自分の心に知恵を宿らせることはできません。
――知恵とは意志である。
と極言しても、かまわないのではないか、と――
僕は思っています。