マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

何のために知識を蓄え、理解を深めるのか

 どんなに多くの知識を蓄え、どんなに確かな理解を深めても――
 人は、必ず一定の確率で、失敗をします。

 それが――
 この世界の現実です。

 このことを知って――
 驚愕する人と安堵する人とがいます。

 驚愕する人というのは――
 将来、絶対に失敗をしないよう、知識を蓄え、理解を深めようと、不断の努力を積み重ねてきた人です。

 安堵する人というのは――
 知識を蓄え、理解を深めても、失敗をしないで済むということはありえないと、わかってしまった人です。

 ……

 ……

 一般に――
 驚愕するのは、まだ若い人で――
 安堵するのは、すでに歳をとった人です。

 もちろん――
 人は必ず失敗をするという現実――たとえ、どんなに多くの知識を蓄え、どんなに確かな理解を深めても、その現実からは逃れられない、という真実――は、できるだけ若いうちに知っておくに限ります。

 そして――
 そのことを知ってしまった際には――
 ひどく驚愕すればよいでしょう。

 なぜならば――

 この現実は――
 歳をとってから知るには、あまりにも酷だからです。

 少なくとも損得勘定でいえば、

 ――あきらかに損

 です。

 ……

 ……

 ここでいう、

 ――できるだけ若いうちに――

 とは、

 ――まだ幼い子どものうちから――

 という意味です。

 小学校低学年くらいが、ちょうどよいのではないでしょうか。

 ……

 ……

 ところで――
 この現実を知ったあとでは――

 人は、誰しも――
 深刻な疑問を抱きます。

 幼い子ども――あるいは、小学校低学年くらいの子ども――でも、きっと深刻な疑問を抱くでしょう。

 すなわち、

 ――何のために知識を蓄え、理解を深めるか。

 という疑問です。

 かなり深刻な疑問です。

 ……

 ……

 この疑問に少しでも積極的に答えるのが――
 初等・中等教育の大きな目的ではないか――

 僕は、そう思っています。

 ……

 ……

 では――

 その答えとは何か――

 ……

 ……

 現時点での僕の答えは――
 こうです。

 ――知識を蓄え、理解を深めると、世の中が楽しく感じられるから――

 これ以外――
 ちょっと思いつきません。