テレビ画面の向こう側で、さまざまに凄惨な事件が起こっているのを、しょっちゅう見ていて――
そのことに、すっかり慣れてしまっていると――
あるとき――
そうした凄惨な事件が、突然、テレビ画面のこちら側で起こったとしても――
まったく実感できないのではないかと想像しています。
“テレビ画面のこちら側”とは――
要するに、そうした凄惨な事件に自分自身が巻き込まれてしまう事態のことです。
そういう事態になったとしても――
目の前で起こっている凄惨な事件と自分自身との間に、なお“テレビ画面”という絶対的に安全な防壁が存在していると、つい錯覚してしまうのではないか、と――
僕の考えすぎなら、よいのですが……。