いわゆる痴情のもつれなどから凄惨な男女間闘争に発展し――
最終的には破局に至ってしまった人たちのお話を聞いていて――
時々、
――こんな人に恋をしたことが失敗だった。
とか、
――あんな人に恋されたことが失敗だった。
とかいった吐露を耳にすることがあります。
お二人の出会いから別れまでの経緯をきいていると――
たしかに、そのように思えることは多いのですが――
よくお話をきいていると――
実は、そうではないことがわかります。
本当の失敗は、多くの場合、
――「こんな人」を好きになってしまった自分の恋を正しく自覚できなかったこと
であり、
――自分を好きになってしまった「あんな人」の恋を正しく認識できなかったこと
です。
自分の恋を明確に自覚していれば――
どうやって相手に自分の感情を理解してもらえるかに精進することができ――
相手の恋を明確に認識していれば――
どうやって自分が相手の感情を受容してあげられるかに腐心することができます。
が――
自分の恋を自覚していなかったり相手の恋を認識していなかったりすれば――
精進も腐心も、やりようがありません。
そうやって手をこまねいているうちに――
結局、まとまる仲もまとまらなくなってしまうのですね。
恋の失敗の原因の多くは――
間違った相手に恋をしたり、恋をされたりすることではなくて――
自分の恋や相手の恋に気づき損ねること――
あるいは、気づこうとしないことです。