恋の歌を、
――何、当たり前のことを!
といってバカにする人がいます。
あるいは――
恋の物語を、
――お決まりのパターンだ。
といって見下す人がいます。
たしかに――
それは、“当たり前”の歌であったり、“お決まり”の物語であったりします。
が――
僕は首を傾げます。
(なんで?)
と――
(たしかに、そうなんだけど、バカにしたり見下したりする必要は、ないだろ)
と――
……
……
この疑問に対する――
今の僕の答えは、次の通りです。
すなわち、
(恋の歌をバカにしたり、恋の物語を見下したりしてる人たちは、たんに恋を知らないだけかもしれない)
と――
……
……
恋を知らずに――
恋の歌を味わうことはできないでしょう。
恋を知らずに――
恋の物語を噛みしめることはできないでしょう。
恋の歌や恋の物語を心から楽しむには――
恋を知らねばなりません。
――恋を知る。
とは、
――恋を実際に体験し、それを体験している自分自身の心理を意識し、自分自身の言動を認識する。
ということです。
……
……
恋は、書物や映像や音声などだけから知ることは――
できません。
実際に体験しないと――
知ることはできません。
体験していても――
そのことを十分に意識し、認識していないと――
知ることはできません。
この、
――実体験の不可欠性
こそが――
おそらく、恋にまつわる最も大切なことです。