マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

論理性だけが数学ではないけれど

 数学の特徴を一言で表すとしたら、

 ――論理性と定量

 でしょう。

「論理性」とは、理詰めで考えること――
定量性」とは、数値で見積もること――
 です。

 しばしば、

 ――数学的思考

 が、

 ――論理的思考

 と同じ意味で用いられますが――
 これは、数学に定量性という特徴のあることを軽視ないし無視したものといえます。

 よって、

 ――「数学的思考」とは何ぞや?

 ということを真剣に吟味するのなら――
 こうした現況は由々しきことなのですが――

 とはいえ――

 数学の定量性を軽視ないし無視したくなる気持ちは――
 わからないでもありません。

 少なくとも、ふつうに日常生活を送っている限り――
 論理性の手続き――理詰めで考えること――が有用となる場面は、そんなに少なくありませんが――
 定量性の手続き――数値で見積もること――が有用となる場面は、かなり少ないのですね。

 例えば、自宅のリフォームを業者に発注するときに――
 人は、どんな業者に発注すべきかを理詰めで考え、発注先の候補をリスト・アップします。

 が――
 それら候補から発注先を1つに絞る際に、いわゆる“見積もり”を自分で行う人は稀でしょう。
 たいていは、それぞれの業者に依頼をする――

 そして――
 それぞれの業者が見積もった金額をみて――
 最終的に、発注先を1つに絞ることになります。

 このとき――
 人は、理詰めで考えてはいますが、数値で見積もってはいません。

 まさに数学の定量性が軽視ないし無視されるのです。

 こうした事例を思い起こせば――
 数学の定量性が軽視ないし無視されている現況は――
 明らかといってよいでしょう。

 なぜ、数学の定量性は軽視ないし無視されやすいのか――

 その理由は――
 たぶん、そんなに難しくはなくて――
 定量性の手続き――数値で見積もること――は、概して煩雑であるから――要は、面倒くさいから――です。

 試しに――
 リフォームの見積もりを業者に任せず、自分で見積もることを想像してみましょう。

 けっこう面倒くさそうですよね(苦笑