主人公が女性の物語は――
難しい――
そう思います。
主人公が男性の物語――
あるいは――
準主人公が女性の物語は――
そこまで難しくはない――
理由は――
主人公が女性だと――
その主人公の女性に、ありとあらゆることが期待されてしまうからです。
……
……
「ありとあらゆること」というのは――
ちょっと違うな……。
もう少し正確にいうと――
物語の受け手によって、主人公の女性に期待することが、ぜんぜん違う――
ということです。
「違う」というか――
千差万別――てんでバラバラ――
ある人は、主人公が男性の時と同じことを求め――
ある人は、愛嬌や度胸、親しみやすさなどを求め――
ある人は、気高い性愛美や下卑た猥褻感を求め――
まあ、とにかく、あきれるくらいにバラバラです。
それだけ、主人公の女性に期待されることは多種多様である――
ということではあるのですが――
裏を返すと――
それ以外に期待されることが、あまりにも画一的でありすぎやしないか、ということです――主人公の男性に期待されることや、その主人公を引き立てる準主人公の女性に期待されることが――