――死に様は生き様――
という言葉があるそうですね。
――死に方をみれば、その人の生き方がわかる。
といった意味のようです。
つまり――
ごく簡単にいってしまえば――
良い死に方をした人は、良い生き方をしてきた人であり――
悪い死に方をした人は、悪い生き方をしてきた人である――
ということです。
(もし、そうだとしたら、なかなかに乱暴だな~)
と思います。
死んでしまった人は――
以後、何ら弁解をできません。
犯罪や戦争に巻き込まれて悲惨な死に方に追い込まれてしまった場合――
その生き方まで「悲惨であった」と評価されるのは、たぶん間違っているでしょう。
「死に様は生き様――」の言葉には――
幸運にも悪い死に方を免れているだけの生者が、上から目線で、死者の人生を問答無用に評定してしまうような乱暴さが感じとれます。
が――
この言葉が真実をまったく含んでいないかというと――
そうでもなくて――
たぶん――
こういうことなのですよね。
――悪い死に方をした人が、悪い生き方をしてきたとは限らないが、良い死に方をした人は、良い生き方をしてきたといってよい。
いいかえるなら、
ということです。
それだけ良い死に方が難しい――
ということです。