世の中を生き抜く上で最も大切な道具は、
――言葉
でしょう。
言葉だけが大切なのではありませんが――
言葉よりも大切な道具というのを――
僕は、ちょっと思いつきません。
言葉を通し――
人は、人々を知り、世界を知ります。
もちろん――
他の道具でも――例えば、美術や音楽や舞踏などでも――
人は、人々や世界のことを知ることはできます。
が――
言葉ほど広く、深く、確かに知ることはできないでしょう。
それゆえに――
言葉は最も大切な道具といえるのですが――
この道具――
あてにしすぎるのは、よくないのですよね。
言葉を重視し、言葉に依存するあまり――
美術や音楽や舞踏などを忌避したり、無視したりすると――
かえって言葉の大切さに無頓着となってしまうのです。
言葉でないと十分に表しきれないところに――
つまり――
美術や音楽や舞踏では、なかなか表しきれないところに――
思いが至らないからです。