子どもに向かって、
――夢は大きければ大きいほどよい。
というのは――
好ましくないと思っています。
そもそも――
子どもには夢を強要しないほうがよい、と――
思っています。
……
……
強いていえば、
――夢は小さければ小さいほどよい。
でしょう。
小さな夢を幾つも持って、それらを一つひとつ叶えていくことで――
子どもは、問題と向き合う姿勢や現実と折り合う技術を身につけていきます。
……
……
こう述べますと、
――そんなことでは、子どもは小さくまとまって狭量な大人になってしまう。
と懸念する人がいます。
たしかに、一理あるとはいえますが――
だからといって、「夢は大きければ大きいほどよい」というふうには、なりません。
大きな夢を持つことには無用な危険が伴うからです。
その夢が破れ――
夢自体に不信感や虚無感を抱く危険です。
あるいは――
夢を虚構世界に閉じこめてしまう危険――
……
……
夢を持つなら――
簡単には破れない夢がよいのです。
それを叶えて消化してしまう夢か――
いつまでも追い求め続けうる夢か――
……
……
つまり――
大きな夢を持つのなら――
しなやかな夢でなければなりません。
自分が死ぬまで常に思い描き続け、それへの関心や興味を失わずに済むような――
そんな夢です。