何か重大な問題があって――
それについて何人かの関係者がいて――
それら関係者の証言の内容が随所で食い違っているようなときに――
人は、
――誰かが真実を話していない。
などといったりするものですが――
実際には――
必ずしも、そうとは限らないのですね。
……
……
それら関係者の全員が真実を話している可能性もある――
ということです。
もちろん――
あくまで個々の関係者自身にとっての真実ですが――
……
……
真実というのは――
単なる事実とは異なります。
事実に主観的な思いを組み込んだもの――「これこそが、まさに真の事実である」との思いを組み込んだもの――が真実です。
よって――
真実は人の数だけ存在します。
つまり――
真実の内容に個人差があったとしても――
何ら不思議はないのですね。
むしろ、個人差のあるほうが当然なのです。
「真実」の言葉の意味するところを――
僕らは決して過信しないほうがよいでしょう。