人の世では、つねに本音と建前とが渦巻いているものですが――
本音というのは――
なかなか分析の対象にならず、議論の主題にもなりません。
分析の対象とするには単純すぎて――
議論の主題とするには退屈すぎるからです。
分析の対象となりやすく、かつ議論の主題となりやすいのは――
圧倒的に建前のほうです。
ですから――
新聞や雑誌や書籍やテレビやネットやラジオなどで語られるのは、いつも建物のほうであって――
本音は、なかなか語られないものです。
僕の『道草日記』でも――
そういう傾向は、ありますよね(苦笑
……
……
が――
人の世で幸せに生きていこうと思ったら――
建前だけでは不十分なのです。
本音にも精通していないと――
なかなか幸せには生きていけない――
……
……
ここでいう「本音」とは、
――自分の本音
であり――
また、
――他人の本音
でもあります。
この「他人」には――
家族・親族、友人・知人、職場の上司・同僚・部下・顧客、そのほか不特定多数の他人などなど、が含まれます。
……
……
本音というのは――
分析の対象にもならず、議論の主題にもならず――
それくらい単純で退屈な問題であり――
その対処の仕方は、ごく簡単なのですが――
唯一の難点は――
新聞や雑誌や書籍やテレビやネットやラジオなどでは、ほとんど語られていない、ということに気づきにくい――
という点です。
ほとんど語られていないがゆえに――
対処の仕方は、自分自身で編み出さなければならない――
が――
そのことを悟るのに何十年もかけてしまう人が――
たまにいるのですね。
……
……
当たり前ですが――
人の世で幸せに生きていこうと思ったら――
何十年もかけてよいことでは、ありません。