マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

本音と建前との正面対立

 自分が本音をいうから、相手も本音をいうし――
 相手が本音をいうから、自分も本音をいうのですよね。

 相手が本音をいわなければ、自分から本音をいう気にはなりません。

 自分が本音をいわなければ、きっと相手も本音はいわないでしょう。

 それが人世の機微というものです。

 ときどき――
 建前をいっている相手に本音をぶつけている人をみかけます。

 あるいは――
 本音をいっている相手に建前をかぶせている人をみかけます。

 本音と建前との正面対立――
 これほど不毛なコミュニケーション遅滞はないといってもよいでしょう。

 人の世で楽しく暮らそうと思ったら――
 決してやるべきことではないのですよね。

 が――
 かくいう僕も、ときどき、そういうことをします。

 無意識にやってしまうときと意識してやるときとがあります。

 無意識にやってしまうのは、ただの不可抗力ですから――あとで相手の人に対して、
(申し訳なかったな)
 とは思いますが――
 とくに他意はありません。

 意識してやるときというのは――それは、決して不可抗力ではありませんから――
 もちろん、他意があります。

 それは、

 ――あなたとは深く関わりたくない。

 と暗示したいときですね。

 そんな暗示は、できる限り、かけたくはないのですが――
 ときどきガマンできなくなるときがあります。