――隠しごとをしていると、出会ってすぐに気づいたが、逢うのをやめられなかった。
とか、
――去年と同じ日に、同じウソをつかれて、「会えない」といわれた。
とか――
一読して、
(不倫だ)
とわかる歌詞なのに、
――抽象的な言葉遊びに終始していて、恋歌としては曖昧で退屈だ。
と批判をしている人がいて――
(え?)
と訝ってしまいました。
(違法な恋の歌なんだから、曖昧でも退屈でもないでしょうに……)
と、ちょっと呆れてしまったのですが――
その批判をした人は――
たぶん、10代か20代前半で――
まだ、ずいぶんと若かったのですね。
なので、
(不倫とわからなかったのか)
と、思い直しました。
たしかに――
不倫が暗示されていない箇所を読むと――
曖昧で退屈な恋歌なのです。
……
……
もちろん、不倫は法律違反なので――
現実の世界に持ち込んだりせず、虚構の世界に封じ込めておくべきですが――
虚構の世界の不倫に気づけない人は――
たぶん――
現実の世界の不倫にも、なかなか気づかないでしょうね――とくに、自分が当事者になってしまっている場合には、なおのこと――
……
……
昨今――
政治家や芸能人の不倫報道が盛んですけれども――
そうした世相の前提として、
――不倫を「不倫」と事前に気づけない人が、けっこう多くいるのかもしれない。
という危惧は――
そんなに的外れではない――
と感じました。