マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

流行語に力がなくなった理由

 ――流行語に力がなくなってきた。

 といわれ始めて――
 何年か経ちます。

 ――今年の流行語は「○○」です!

 とアナウンスされても、

 ――え? 何、それ?

 とか、

 ――なんで、それが?

 といった否定的ないし懐疑的な反応が珍しくなくなってきた――
 ということです。

 こうした変化は――
 ネット社会の成熟と無関係ではないように――
 僕は思います。

 ネットが一般化するまでは――
 世の中の不特定多数の人々に向けて言葉を発していたのは――
 新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどのメディアだけでした。

 が――
 ネットが一般化してからは――
 膨大な数の人々が――
 それぞれ不特定多数の人々に向けて言葉を発するようになっています。

 喩えていうならば――

 流行語になりうる言葉は――
 少数の大きなスピーカーだけでガンガンと流されるよりも――
 多数の小さなスピーカーも混ざってザワザワと流されるほうが――
 広く浸透しにくくなるのは――
 自明のように思います。

 流行語に力がなくなってきたのは――

 決して流行語になりうる言葉が生じにくくなってきたわけではなくて――
 むしろ、流行語になりうる言葉が、あまりにも膨大に生じているからではないでしょうか。

 ――流行語を世の中で幅広く共有することが難しくなっている。

 ということです。

 ――流行語の泡沫化

 といってもよいでしょう。