子ども向けの昔ばなしの中には――
たまに、
――救いようのない物語
が混じっています。
登場人物たちが延々と争っている話――
登場人物たちが次々と殺されていく話――
(なんで、そんな話を、わざわざ子ども向けにするのかなあ)
と訝りたくなるのですが――
……
……
たぶん――
その理由は、
――その物語の“救いようのなさ”に、大人になってから気づいてもらいたいから――
です。
子どもの時は――
気づかなくてよいのです。
――なんか、みんな、争ってる。
――みんな、どんどん死んでく。
でよい――
大人になったあとで――
現実の世界の中にも、その昔ばなしの“救いようのなさ”があることを知って――
深く感じ入ってくれたら――
それでよい――
……
……
たぶん――
そういうことなのです。