部外者(outsider)であることの気楽さとは別に――
部内者(insider)であることの危うさというのがある――
と、僕は思っています。
部外者の気楽さは――
広く知られています。
が――
部内者の危うさは――
さて、どうでしょうか。
……
……
部外者が気楽なのは――
いかなる組織の部内の事情からも自由であるからです。
部内者が危ういのは――
所属している組織の部内ばかりに目がいき、部外からの眼差しに無頓着になるからです。
これだけを比べたら――
部内者でいるより、部外者でいるほうが、ずっと安心ですね。
が――
人は、一人で成し遂げられることには限度があります。
何か大事を成そうと思ったら――
どうしても組織の力が必要なのです。
つまり――
部内者になるということは――
組織の力を借りる機会と引き換えに、部外者の視点を忘れるかもしれない危険と、隣り合わせになることです。
部内者になるのであれば――
あるいは――
部内者でいようとするのであれば――
その危険性に十分に留意をしておく必要があります。
*
世間をにぎわせていますね。
今週になって――
格段に騒がれるようになりました。
……
……
僕にいわせると――
今回の醜聞に巻き込まれた人たち――あるいは、今回の醜聞を巻き起こした人たち――は――
たぶん、
――部内者の危うさ
という概念に意識が向いていなかったか――
まったく気づいていなかったかの――
どちらかです。