いわゆる美談は――
ある時、突然、思いがけず、耳にしたいものですね。
事前に予告をされてから耳にしたり、あるいは、十分に予期をさせられてから耳にしたりすると――
すっかり興醒めをします。
(わかった、わかった。もういいから……)
と、かえって食傷気味になってしまう――
心を動かされ、うっかり涙腺を緩めてしまう――
などということは、まず起こりえない――
これと正反対なのが醜聞で――
醜聞は――
美談と違って――
事前の予告や十分な予期のあるほうが、よいように思います。
醜聞を、ある時、突然、思いがけず、耳にすると、
――ガク
と落ち込むことがあります。
(今は、そういう話は、ききたくなかったなぁ)
と――
その背景には――
たぶん、怒りとか呆れとか諦めの感情が渦巻いているのだと思います。
醜聞に伴うネガティブな感情とは定期的に向き合い――
美談に伴うポジティブな感情は不定期に味わいたいものです。
ネガティブな感情には、気持ちの準備や覚悟が要ります。
ポジティブな感情は、意表を突かれると心に深く残ります。