マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「世界の○○」

 ――世界の○○

 という言い方が――
 ありますね。

「○○」には、たいていは個人名が入り、

 ――日本国内だけでなく、世界各地で広く知られていて、その業績を高く評価されている○○

 くらいの意味です。

 この「世界の○○」という言い方――
 たぶん日本人による日本人に向けた日本語での表現としてしか――
 意味を成さないでしょう。

 例えば――
 英語で日本人以外の人たちに向けて、

 ――○○, the citizen of the world

 とか、

 ――A worldwide person, ○○

 とかいったところで、

 ――What?

 と首を傾げられると思います。

 日本語圏以外では、「世界」という概念で個人名をくくるという発想それ自体が、存在しないのではないでしょうか。

 個々の国や地域の名前でくくる発想はあっても、「世界」でくくる発想はない――

 ここでいう「くくる」とは、

 ――限定する

 とか、

 ――特徴づける

 といった意味です。

 論理的に考えれば、当たり前なのですよね。

 世界というものは、個々の国や地域の外に広がっています。

 そして――
 世界の外には何も広がっていないはずです――ファンタシー等で扱う“異世界”の概念を別にすれば――

 ……

 ……

 こうして考えると――
「世界の○○」という日本語表現は――
 かなり面白い言い方です。