マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人間を2つに分ける(14)

 体の袋が栄養素や酸素を独りでに取り込んで――
 袋の内側の温度をほぼ37℃と一定に保っていることは、

 ――体は散逸構造の1つである。

 と考えることで説明がつく――
 というようなことを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 では――
 その、

 ――散逸構造

 とは何か――

 ……

 ……

 散逸構造は、

 ――エネルギー

 の概念に基づきます。

 ここでいう「散逸」とは、単に「撒き散らす」という意味です。
 何を撒き散らすのかというと――
 それが、

 ――エネルギー

 なのです。

 ここで――
 では、その、

 ――エネルギー

 とは何ぞや――
 というところまで問い始めると――
 なかなか説明が進みませんので――

 きょうのところは、とりあえず、

 ――エネルギーとは液体のように流れる何かである。

 とご理解ください。

 この“液体のように流れるエネルギー”が自然界を散り乱れながら流れるときに――
 その流れるところの環境やそこで起こっている事象に適した形で生じる構造が、

 ――散逸構造

 です。

 ホースの先にスプリンクラーが付いている物を想定して下さい。

 そして――
 液体がホースを流れ、スプリンクラーによって撒き散らされるところを想像しましょう。

 このとき――
 液体は、少なくともスプリンクラーのところでは、あきらかに散り乱れながら流れていますよね。


 ただし――
 この“スプリンクラー”は、自然界で独りでに発生します。

 誰かが作ってホースの先に取りつけてやらなければならないスプリンクラーとは――
 わけが違うのですね。

 ――“液体のように流れるエネルギー”を撒き散らすスプリンクラーのような構造が、なぜか自然界に独りでに発生し、存在している。

 という説明こそが、

 ――散逸構造

 の核心であり、魅力でもあります。

 ……

 ……

 きのうの『道草日記』で――
 僕は、

 ――なぜ体の袋は独りでに動いて栄養素や酸素を取り込んでいるのか。

 と問いました。

 その答えは、

 ――散逸構造だから――

 というものですが――
 この答えは、

 ――袋の体

 の不思議を、

 ――散逸構造

 の不思議に置き換えているに過ぎません。

 ……

 ……

 もちろん、

 ――体は散逸構造の1つである。

 という答えは――
 人間の体に限ったことではなくて――

 いわゆる恒温動物(厳密には「内温動物」)の体の全てにいえることでもあります。