マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

生命の本質に立ちはだかる壁

 ――生命

 は現象であり――
 現象であるからには――
 その本質――つまり、

 ――生命の本質

 を――
 人は、端的に指摘できるはずなのだが――
 これまでに端的に指摘できた人は誰もいない――

 というようなことを――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 ……

 ……

 生命の本質を――
 誰もが端的に指摘できないのは――

 生命が生命であるための必要十分条件が、わかっていないからです。

 必要条件は――
 わかっています。

 とりあえず――
 以下の3つくらいが挙げられています。

  1) 膜で囲まれた内部をもち、内部を一定の状態で保っている
  2) 物質が持続的に流れていったり、変わっていったりしている
  3) 一定の期間のうちに存在が終わり、よく似た別の存在を残す

 ふつう、1)は「恒常性」、2)は「代謝」、3)は「世代交代」と呼ばれます。

 他にも、必要条件を挙げようと思えば挙げられますが――

 大切なのは――
 十分性の確認です。

 つまり――
 生命が生命であるための必要条件を片っ端から挙げていき――
 それら必要条件の交わり(共通要件)を絞り込んでいくのは、よいのですが――

 絞り込んでいくだけでは――
 いつまでたっても、生命の必要十分条件はみえてきません。

 絞り込んでいくなかで――
 どこかで、

 ――この共通要件さえ満たせば、十分に生命であるといえる。

 との主張に転じることによって――
 生命が生命であるための必要十分条件を描き出さなければならないのです。

 が――
 その描き出し方が――
 今のところ、誰にもわからないのですね。

 なぜ描き出せないのか――

 ……

 ……

 いちばんの理由は――

 ――たった1種類の生命しか知られていないから――

 でしょう。

 地球上には莫大な種類の生命が存在しますが――
 それら生命は、世代交代における遺伝の仕組みの類似性や体の部品である物質(タンパク質)の共通性などから、たった1つの共通祖先から進化してきたと考えられています。

 複数の祖先から進化してきたと考えると――
 気が遠くなるくらい稀な偶然の一致を仮定しなければならないのだそうです。

 この、

 ――たった1種類

 というのが――
 ネックになっているのですね。

 もし、複数の種類の生命が存在したならば――
 それら生命を互いに比べることで多くのことがわかるはずです。

 たぶん――
 より十分性の高そうな必要条件がみえてくる――

 が――
 1種類だけでは――
 かなり困難です。

 ――致命的に困難――

 といってもよいでしょう。

 正三角形しかみたことがない人が三角形の成立条件を考えるようなものです。

 ……

 ……

 ――生命の本質

 に迫ろうとするとき――
 この、

 ――たった1種類

 の壁が厳しく立ちはだかります。

 が――

 ……

 ……

 近年――
 この“壁”を何とかしてコジ開けようとしている人たちが出てきました。

 ――アストロバイオロジスト(astrobiologist)

 と呼ばれる人たちです。

 ……

 ……

 続きは、あすに――