もし、
――人の気分を司る第二原理
というものがあるとしたら――
それは、生物種としての人(ヒト)の生存には、紛れもなく有利に作用している――
ということを――
おとといの『道草日記』で述べました。
……
……
どのように有利に作用しているのか――
……
……
わかりやすいのは――
例えば――
旧来の生息地を捨て、新たな生息地を目指して移住を試みるような場合です。
ヒトが旧来の生息地を離れるには――
天敵の個体数の急速な増大や気候の恒久的な変動といった、ヒトにとって深刻に好ましくない事象が先に起こっていると考えられます。
そのような事象に見舞われて――
ヒトは、自らの生存が脅かされていることを察知し――
まずは気分が沈み込んだはずです。
が――
そのような事象は、基本的には永続的ですから――
ただ、じっと我慢をしてやりすごしていれば、そのうちに何とかなる――
というようなことではありません。
よって――
ヒトの気分は、いつまでも沈み込んだままであったはずです。
ところが――
あるときに――
どういうわけか――
ヒトの気分が不自然に浮き上がった――
そして――
そのようなヒトの個体が相当数、現れて、
――新たな新天地を目指そう!
と互いに団結をし――
旧来の生息地を捨て、新たな生息地を目指して旅立っていった――
この気分の浮き上がりは――
ハッキリいえば、
――異変
です。
こんなことは――
ふつうは起こらない――
自身の生存が激しく脅かされたときに限り――
起こる――
そのような異変が、ときに起こりうる、という性質を――
ヒトが十分に備えていたがゆえに――
ヒトは絶滅を免れたのではないでしょうか。
ヒトと似たような生物種は、ヒト以外に何種類もあったのに――
そのような性質がなかったがゆえに――あるいは、あったにしても十分ではなかったがゆえに――
それら生物種は、ヒトのみを残し、全て絶滅をしていった――
そういうことではなかったか、と――
思うのです。