――粋(いき)
とは、
――色気の嗜(たしな)み
である、と――きのうの『道草日記』で述べました。
私見です。
どれほどの賛同が得られるかは、わかりません。
……
……
――「粋」とは「色気の嗜み」である。
というときに――
もちろん――
その比重は、あきらかに「嗜み」にあります。
つまり、「粋」に芯があるとしたら――
それは「嗜み」です。
――嗜む。
には、様々な意味があります。
――好んで親しみ、励む。
――慎み、気をつける。
――あらかじめ心がけておく。
――見目を端正に整える。
なかなか一言では表せえない複雑な概念です。
例えば――
女優は粋です。
が――
TVのニュース番組の女性司会者は、仮に女優のような魅力を放っていても、通常、粋ではありません――色気を嗜む役割は負っていないはずだからです。
あるいは――
裸の人体に粋は宿りえます。
が――
裸の人形――本物の人体を精緻に模した人形――には、粋は宿りえません――人形には主体がないから――つまり、色気を嗜むはずがないから――です。