――23世紀や24世紀の大脳生理学は、どんなものだろう?
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
そんなふうに未来へ思いを馳せることができるというのは――
よく考えたら、不思議なことです。
1月8日以降――
僕は『道草日記』で、
――「時間」の概念は心が作り出した。
と繰り返し述べてきました。
簡単にいうと、
――心は、脳に入ってくる感覚に「現在」を、脳に残された“感覚の痕跡”に「過去」をあてがっている。
ということです。
では、
――未来
は、どうでしょうか。
心が「時間」の概念を作り出しているのなら、「未来」もまた「感覚」や「感覚の痕跡」といった言葉に類する言葉で――そして、基本的には、それらの言葉だけで――説明がつくはずです。
ここでいう「感覚」とは、
――神経細胞によって伝達される信号
であることにご留意ください。
僕は、
――心は、脳に生じる“感覚の模型”に「未来」をあてがっている。
と考えています。
正確には「“感覚の模型”」ではなく、「“感覚の模型”の一部」です。
「感覚の模型」は「感覚」とは異なります。
例えば、
――このまま何時間もご飯を食べなかったら、どうなるだろう?
という想定をし、そうなった場合の空腹感を思い浮かべるときに――
心は実際に空腹を感じているわけではありません。
それは――
「感覚の痕跡」が「感覚」と異なるのに同じです。
――あのときは何時間もご飯を食べられなくて、お腹が空いたなぁ。
という想起をし、そうだった場合の空腹感を思い浮かべるときに――
心は実際に空腹を感じているわけでないのと同じです。
“感覚の痕跡”は、ふつうは、
――記憶
と呼ばれます。
同様に――
“感覚の模型”は、ふつうは、
――想像
と呼ばれます。
あえて「記憶」や「想像」を用いないのは――
「記憶」も「想像」も、一次的には心の作用を表す言葉であるために、脳の生理現象を表す言葉と一緒に用いるのは不向きだからです。
再び――
ここでいう「感覚」が、
――神経細胞によって伝達される信号
であることにご留意ください。
以上をまとめますと――
以下の通りとなります。
――心は、脳に入ってくる感覚に「現在」をあてがい、脳に残された“感覚の痕跡”に「過去」をあてがい、脳に生じる“感覚の模型”の一部に「未来」をあてがうことで、「時間」の概念を作り出している。