マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“人知を超えない知”なら、あるかも……

 ウイルスや細菌などの病原体に、

 ――人知を超えた知

 を感じとってしまうのは、自然な人情である、と――

 僕は思っています。

 

 が――

 それでも――

 僕は、なるべく病原体に“人知を超えた知”を感じとらないように、努めています。

 

 理由は、

 (冷静に考えたら、やっぱり、ウイルスや細菌に“人知を超えた知”があるとはいえない)

 と思うからです。

 

 ……

 

 ……

 

 ――人知を超えない知

 なら――

 ひょっとすると――

 あるかもしれません。

 

 そういう“知”なら――

 空想くらいはしてもよいでしょう。

 

 そして――

 そういう“知”なら――

 

 たぶん――

 そんなに不気味なことは考えません。

 

 ……

 

 ……

 

 では――

 “人知を超えない知”を備えたウイルスや細菌は――

 いったい、どんなことを考えているのか――

 

 おそらく――

 いかに生物種として生き残っていくか――

 そのことだけで精一杯でしょう――もちろん、ウイルスを生物種に含めるかどうかは、さておいて――

 

 ……

 

 ……

 

 以下は、僕の空想です。

 

 ……

 

 ……

 

 僕:「きみたちは、何でそんなにヒトの体内で増殖しようとするんだい?」

 

 ウイルス:「そんなこと、我々にだってわからない。きみたちだって、地球上で増殖した理由を、そう簡単には答えられないだろう?」

 

 僕:「あんまり激しく増殖すると、きみたちの宿主の体が死んでしまう。そうしたら、きみたちの大部分も死んでしまうんだよ」

 

 ウイルス:「それはわかっている。たしかに厄介な問題だ。けれど、どうしようもないではないか。我々としても、ただ生き残るために必死なだけなのだよ。きみたちだって、地球上では同じ立場だろう?」

 

 僕:「まぁ、たしかに、そうではあるが……」

 

 ウイルス:「互いに仲良く共存できるのが一番なんだが……」

 

 僕:「それはムリだ。きみがヒトの体内に定着すると、宿主は大変にツラく、苦しい思いをする。その苦痛を許容するのは難しい」

 

 ウイルス:「それは、あくまで、きみらの都合だ。我々にも都合はある。そこは、わかってほしい」

 

 ……

 

 ……

 

 そんなに有意義な空想には、なりそうもありませんね。

 

 要するに――

 相手の“知”が“人知を超えない知”であることを想定する限り――

 相手は、そんなにビックリするようなことはいってこない――

 ということです。