ヒトの個体は、
――常在の細菌
だけではなくて、
――常在のカビ
や、
――常在の虫
そして――
おそらくは、
――常在のウイルス
とも共生関係にある――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
いま――
説明を少しでも簡単にするために、
――常在の細菌・カビ・虫・ウイルス
を、
――共生体
と呼ぶことにします。
――病原体
と対になる表現にします。
“共生体”は、宿主の個体と共生関係にあり――
その関係を脅かす病原体の侵入を、宿主と協働で駆除しようとする、とみなします。
この「共生体」という言葉を用いると、
――感染
とは、
――病原体もしくは“共生体”が個体の内部に定着をすること
といえ、
――感染症
とは、
――病原体が個体の内部で増殖をすることで、“共生体”と個体との共生関係が乱れ、かつ、一部の“共生体”が造反をすることによって、個体が特有の症状・徴候を呈すること
といえます。
何がいいたいのかといいますと――
――感染
という現象はともかく、
――感染症
という現象は――
病原体が、実は、それほど主体的な役割を果たしているわけではない――
ということです。
つまり――
病原体の侵入・定着は、感染症の契機になっているとはいえますが、感染症の原因――少なくとも、直接的な原因――になっているとはいいにくい――
ということです。
――感染症の原因は病原体――
とは、ちょっと、いいにくいのですね。