マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「ヒトは万物の霊長か」の懐疑がもたらすこと

 いわゆる新型コロナ・ウイルス感染症パンデミックによって、

 (世界は大きく変わった)

 と、僕は感じています。

 

 どう変わったか――

 

 簡単にいうと――

 ヒト――生物種としての人――にとって、かなり生きにくい世界に変わりました。

 

 ここでいう「生きにくい」というのは――

 例えば、欧米諸国で行われている都市封鎖や、この国で発せられている緊急事態宣言に伴う様々な生活制限のことだけを指しているのではありません。

 

 ――ウイルス

 という微小な存在――生命体なのか非生命体なのかさえ判然としないような不可思議な存在――によって、ヒトは簡単に死へ追いやられうる――

 という事実が人々の心に与える影響も――

 見過ごすことはできません。

 

 その「影響」とは――

 簡単にいってしまえば、

 ――ウイルスへの恐れ

 です。

 

 その恐れが、ヒトにとって――あるいは、人にとって――世界を生きにくい場へと変えてしまいました。

 

 今――

 おそらくは世界の各地で、

 ――ヒトは万物の霊長である。

 という素朴な認識が強く揺さぶられています。

 

 ――“万物の霊長”がウイルスのような微小の存在に脅かされるものか。

 という反語的な懐疑――つまり、

 ――ウイルスのような微小な存在によって簡単に死に追いやられうるような生物種は、“万物の霊長”などではありえない。

 との結論は――

 まだ暫定的ではありますが――

 人々の心を委縮させるには十分でした。

 

 人は――あるいは、ヒトは――ほとんどの場合に、社会を通して世界に触れています。

 

 そして――

 社会は人々の関係性の集積から成り立っています。

 

 ヒト――あるいは、生物種としての人――の生態――それが、社会です。

 

 よって、

 ――これまでに地球上に誕生し、繁殖し、そして、絶滅してきた数多くの生物種と同じように、ヒトもまた、いつ絶滅してもおかしくない生物種である。

 との認識が人々によって急速に共有されることで――

 社会は変わり――

 ひいては世界が変わるのです。