マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

歴史物語 = 歴史 + ケレン味

 ――歴史物語

 という言葉があります。

 

 意味は2つほどあって――

 

 1つは、

 ――平安期以降、歴史的事実を題材に仮名文で物語風に著された歴史書

 で――

 もう1つは、

 ――歴史的事実を題材にした小説や、それに類する作品

 です。

 

 前者は、狭義の「歴史物語」であり――

 後者は、広義の「歴史物語」である――

 といってよいでしょう。

 

 以下――

 とくに断りを入れない限り――

 広義の「歴史物語」について述べます。

 

 ……

 

 ……

 

 ――歴史

 に、

 ――ケレン味

 を加えると、

 ――歴史物語

 となります。

 

 つまり、

 

  歴史物語 = 歴史 + ケレン味

 

 です。

 

 ……

 

 ……

 

 僕は――

 歴史が好きなのですが――

 

 実は、歴史物語は、それほど好きではありません。

 

 なぜかといえば――

 僕が興味をもっているケレン味の趣向と歴史との相性が、そんなによくないからです。

 

 僕が興味をもっているケレン味の趣向は、

 ――女性の色気

 です。

 

 ――歴史

 と、

 ――女性の色気

 とは、そんなに相性はよくないでしょう。

 

 ――女性の色気

 というのは、

 ――男が主観で勝手に練り上げるもの

 です。

 

 一方、

 ――歴史

 というのは、

 ――主観と主観とが鬩(せめ)ぎ合った結果、一つの客観らしきものとして後世に伝わるもの

 です。

 

 つまり、

 ――女性の色気

 は、

 ――男が自分の主観を絶対化させ、豊穣化させて得られるもの

 であり、

 ――歴史

 は、

 ――男であろうが女であろうが、人として自分の主観を相対化させ、洗練化させて得られるもの

 であるのです。

 

 だから――

 相性がよいわけはないのですね。

 

 先ほど――

 僕は、

 ――歴史物語は、それほど好きではない。

 と述べましたが――

 正確ではありません。

 

 僕は――

 子どもの頃は、歴史物語が大好きでした。

 

 が――

 10代の半ば頃に、

 

  歴史物語 = 歴史 + ケレン味

 

 の図式に気づき――

 

 やがて――

 それを強く意識するようになって――

 

 以後――

 僕の好みは、

 ――歴史

 と、

 ――ケレン味

 との2つに分かれていきました。

 

 歴史については――

 主観の相対化・洗練化を目指し――

 

 ケレン味については――

 主観の絶対化・豊穣化を目指すようになったのです。