――自分たちの体を有機物から無機物に作り換える。
ということについて、考えています。
その際に――
きのうの『道草日記』では、
――自己は作り換えられても、自我は作り換えられないのではないか。
ということを述べました。
もし、
――自我は作り換えられない。
というのが真理であれば――
遠い将来、人が自分たちの体を有機物から無機物に作り換える際に――
その作業は、おそらく、以下のようでしょう。
――自分の自我とは異なる自我をもつ自己を作り上げる。
つまり、
――有機物である自分の体を無機物に作り換え、その無機物の体に自分ではない他の誰かの自我を宿らせる。
ということです。
それは――
喩えるなら、
――歳の離れた双子
のような存在でしょう。
もちろん――
片方は有機物の体をもち、もう片方は無機物の体をもっているわけですから――
その“歳が離れた双子”は、今の僕らが知っている「双子」とは、だいぶ違うはずです。
が――
少なくとも、その“歳の離れた双子”は、今の僕らが知っている“双子”と同様に――
遺伝の情報が全く同じなのです。
その情報を伝えている物質が違う――片方は有機物で、もう片方は無機物――
……
……
――自分たちの体を有機物から無機物に作り換える。
というのは――
つまりは、
――歳の離れた双子
を作り上げるということです。
もし、
――自己は作り換えられても、自我は作り換えられない。
というのが真理であれば――
有機物から無機物に作り換えられるのは、あくまでも「自分たちの体」であって、「自分の体」ではない――
ということになります。
より正確に記せば、
――自分たちの体を有機物から無機物に作り換える。
ということは、
――自分たちの子孫の体を全て無機物に変えてしまう。
ということです。