マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“汎憂根絶”ないし“不衰不滅”を成し遂げた社会

 人は――

 個体の次元で、

 ――汎症根治(はんしょうこんち)

 ないし、

 ――不老不死

 を成し遂げ――

 生態の次元で、

 ――汎憂根絶(はんゆうこんぜつ)

 ないし、

 ――不衰不滅(ふすいふめつ)

 を成し遂げる――

 ということを、きのうまでの『道草日記』で述べてきました。

 

 その、

 ――不老不死

 を成し遂げるために――

 個体を有機物から無機物に作り換え――

 その、

 ――不衰不滅

 を成し遂げるために――

 単数の自我からなる生態を作り上げる――

 

 ……

 

 ……

 

 何とも破天荒な着想ですが――

 

 こんなことを考えている僕の念頭にあったのは、

 ――カルダシェフの尺度(Kardashev scale)

 です。

 人の文明の進展の程度を、単位時間当たりのエネルギー消費量に基づいて評するための尺度です。

 ロシアの天文学者ニコライ・カルダシェフが、1964年に提唱をしました。

 

 この尺度によれば――

 人の文明は、少なくとも以下の3つの段階に分類をされえます。

 

 1.惑星の表面で得られるエネルギーの全てを用いうる

 2.恒星が放射をしているエネルギーの全てを用いうる

 3.銀河が内蔵をしているエネルギーの全てを用いうる

 

 1964年当時の人の社会は、“1の段階”にさえも遥かに及びませんでした。

 それは、21世紀序盤の現代においても、同様です。

 

 よって――

 僕らの文明は、

 ――カルダシェフの尺度

 によれば――

 まだまだ未熟なのです。

 

 ちなみに――

 カルダシェフ自身は――

 この尺度を恒星間通信の可能性を論じるために考え出したそうです。

 

 ――この宇宙には、“2の段階”や“3の段階”に達してる地球外文明が、きっと存在をする。“1の段階”にも達していない我々が、いくら太陽系の外に情報を送ったところで、発信のエネルギーが足らなさ過ぎて、遠くまでは送れない。しかし、“2の段階”や“3の段階”に達している地球外文明なら、十分なエネルギーで発信をしているはずだから、我々は彼らの通信の傍受に専念をするのがよい。

 そういう主張であったようです。

 

 が――

 この尺度は、人の文明の進展の程度を多少なりとも具体的に論じるのに都合がよいので――

 しばしば、カルダシェフ自身の意図とは離れたところで活用をされます。

 

 僕も――

 カルダシェフ自身の意図とは離れたところで活用をしています。

 

 つまり――

 僕がいう、

 ――汎憂根絶

 ないし、

 ――不衰不滅

 を成し遂げた社会というのは――

 おそらくは、

 ――カルダシェフの尺度

 でいうところの“2の段階”や“3の段階”に達している社会のことです。