脳を含む神経系について、
形態 = 配線
の図式を踏まえた上で――
これに準え、
――機能
を記すならば、
機能 = 演算
の図式を得る――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
つまり、
――ヒトの神経系の機能とは、その神経系を成す全ての神経細胞どうしで行われる信号の送受である。
ということです。
一方――
おととい以降の『道草日記』で繰り返し述べているように、
――心理と生理との分断
を正直に踏まえるならば――
この、
機能 = 演算
の図式とは別に――
もう1つの図式を得ることになります。
機能 = 体験
という図式です。
……
……
この、
機能 = 体験
の図式は――
僕らの日常の実感に基づいています。
今、
――ヒトの神経系
に、
――人の精神
が宿っているということをとりあえず認め、これに一切の疑問を挟まないのであれば――
以下の命題を得ます。
――ヒトの神経系の機能とは人の精神の活動に他ならず、その活動は“感覚の体験”ないし“感覚の体験への反応の体験”の連続である。
ここでいう「感覚」とは――
主に目や耳などの感覚器を通して察知をしうる情報を指しています。
が――
感覚器を介する情報に限られるわけではありません。
この「感覚」には、
――勘
や、
――ひらめき
といった、いわば、
――内からの感覚
と呼べそうな感覚が含まれます。
また――
ここでいう「反応」とは、“感覚の体験”の次に起こる精神的な事象の全てを指します。
例えば――
運動であったり反射であったり思考であったり決断であったりします。
ここで見過ごせないことは――
感覚も反応も、だいたいは意識をされているが――
必ずしも全ての感覚や反応が意識をされているわけではない――
ということです。
むしろ、意識をされる部分は、案外、小さいのかもしれない――
……
……
つまり、
機能 = 体験
というときの「体験」には、
――意識的な体験
と、
――無意識的な体験
との双方が含まれます。